予防接種について

予防接種のイメージ写真

人間を含む生物には感染に対する自己免疫力があります。この自己免疫力は初めての病原体(細菌やウイルス)に対しては反応が遅く、今までかかったことのある病原体には早く反応します。ワクチンは擬似感染の様なもので、本物の病原体の侵入時に早く自己免疫力を反応させるためのものです。例えていうと、「国内に入ってきた人がテロリストだった場合、その人のことを全く知らなければその人が国内でテロ行為をするまではテロリストだとは判断できません。しかしあらかじめ指名手配の情報を知っていればテロリストの入国と同時に監視、拘束などの対処が早くできる」と言えば解りやすいでしょうか。この指名手配書がワクチンです。しかし病原性の強い本物を注射するわけにはいかないので、病原性を弱めたり(弱毒性ワクチン、生ワクチン)、病原性を無くしたり(不活化ワクチン)して作ったものがワクチンです。弱毒性ワクチン、生ワクチンにはわずかに発病性は残りますが、不活化ワクチンには発病性は基本的にはありません。
また基本的にはどのワクチンも「感染しないようにする」というよりは「感染しても重症化を防ぐ」というのが目的です。もちろん感染しても症状が軽すぎて自覚しなかった場合は、まるで「感染しなかった」と思える場合もあります。

当院で接種できる主なワクチン

  • コロナワクチン
  • 肺炎球菌ワクチン
  • インフルエンザワクチン
  • 麻しん風しん混合ワクチン
  • 帯状疱疹ワクチン など

新型コロナワクチン

現在行われているワクチンはファイザー製、モデルナ製がほとんどですがこれはどちらもRNAワクチンと言われる新しいタイプのワクチンです。「新しいタイプのワクチン」ということで様々な憶測から偽情報も多く飛び交ってしまったようです。

敵の情報を予め体に覚えさせる点では他のワクチンと同じですが、他のワクチンとは違い、コロナウイルスの一部の遺伝情報(RNA)を注射し、その情報をもとに体内でコロナウイルスの一部が作られることで相手の情報を得るというものです。
作られるのはコロナウイルスの一部だけであり、コロナウイルス全体が作られるわけではないので病原性はありません。またワクチンとして注射されたウイルス遺伝情報が自分の身体の遺伝子に組み込まれる事もありません。

しかし残念ながらワクチンが原因と思われる副反応や後遺症、死亡症例があるのは事実です。いわゆる副反応と言われるものの中には、体が情報を覚える時の反応である発熱や注射部の痛み、腋のリンパ節の腫れなども含まれますし(通常は2〜3日で消失)、心筋炎や血栓症といった副反応(本物の新型コロナウイルスに感染してしまった場合の心筋炎や血栓症はもっと酷い症状を呈することがある)、ワクチンを安定させるための添加物に対するアレルギー反応などさまざまなものが含まれています。
これらが予想外に体に負担をかけ、持病を悪化させたりして結果的に後遺症や死亡される方がわずかにいるのは確かです。

私は個人的に本物の新型コロナウイルスに感染すればもっと酷い後遺症が出て死亡するリスク高くなると思っていますので、自分では毎回接種しています。
しかし最近の新型コロナウイルスは感染しやすくなったものの病原性が弱くなった事もあり接種を悩まれる方も多いと思いますし、「病気にかかりたくないからワクチンを打ったのにそのせいで命に関わることになってしまっては本末転倒である」、という気持ちも理解できます。
ですのでどのワクチンにも当てはまることですが、よく考えた上でご自身で打つか打たないかを決定してください。

肺炎球菌ワクチン

肺炎を発症する原因はいくつもありますが、重症肺炎を起こす代表的なものとして肺炎球菌による肺炎があります。とくに、高齢者や基礎疾患を有している方の場合、肺炎をこじらせて危険な状態に陥るケースも少なくありません。65歳以上の方は肺炎球菌ワクチンの接種を受けておくとよいでしょう。なお、再接種を希望される方で、前回の接種から5年未満の場合は、注射部位に強い痛みが現れることがあります。接種した年月日はきちんと記録しておくようにしましょう。肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンで病原性はありません。

インフルエンザワクチン

インフルエンザは昔は冬だけに流行る感染症でしたが、最近は冬以外にも感染される方が増えています。また、インフルエンザは毎年流行するタイプが違い、予め今年流行するであろうタイプを予想してメーカーはワクチンを作っています(通常は数種類のタイプに対する混合ワクチンです)。そのため予想が外れるとワクチンの効果が出ない事もあり得ますが、大外れは無いように思います。新型コロナウイルスの話題に隠れがちですが、インフルエンザも脳炎や重症肺炎で命を落とす方がそれなりにいるため侮ってはいけません。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで病原性はありません。

麻しん風しん混合ワクチン

麻しんとは、いわゆる「はしか」と呼ばれる病気です。病原体は麻しんウイルスで感染力や病原性はがとても強く、実は新型コロナウイルスよりも怖いとされています。同ウイルスに感染している患者さんから飛沫感染、接触感染、空気感染によって感染すると言われています。主に6歳くらいまでの小児期に感染者することが多く、小児では重症化することが少ない(無いわけではないですが)ため怖い感染症というイメージが少ないかもしれませんが、成人で感染すると重症化し後遺症などを起こす可能性は低くはありません。

風しんは、風しんウイルスによって起こる感染症です。昔は「三日麻疹」などと呼ばれていました。主な症状は、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどです。成人が風しんを発症すると、高熱が続き、関節の痛みも生じ、小児期よりも症状が強く出がちです。なかでも問題になるのは、妊婦への感染です。妊娠初期に母体が感染すると胎児にも感染が及び、生まれてきた赤ちゃんには白内障や先天性心疾患、難聴、発達遅延などが見られる可能性が生じます(先天性風しん症候群)。当院では、麻しんと風しんの両方に効果があるワクチンを接種いたします。注意点としてはこのワクチンは生ワクチン(病原性を弱めてはいるものの無くなってはいない)であるということです。免疫不全の方や免疫抑制剤などを使用中の方、すでに妊娠している方は接種できません。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は、小児期〜学童期にかかった水痘ウイルス感染症(いわゆる水疱瘡です)のウイルスが完全には消滅しておらず体内で潜んでおり、体力や免疫力が落ちた時(怪我やストレスなど)に活動を開始することで発症します。このウイルスはなぜか神経細胞が好きなようで神経の根元に隠れ潜んでいます。発症するとその神経の範囲に帯状の痛みと痒みを伴う水疱ができます。顔面や体感、四肢のどこにでも発症します。皮疹より前に痛みなどが先に出る事もあります。治療をせずに放置してしまうとその神経に傷がついてしまい、治療でウイルスが消失した後でも神経痛だけが残る場合があります。この神経痛はけっこう長引くことが多く、神経の傷の程度によって症状の強弱も変わります。帯状疱疹を疑ったら早期に治療することが大切ですが、予防として50歳以上の方は、帯状疱疹ワクチンを接種するのも有効です。
水痘ワクチンは生ワクチンですが、帯状疱疹ワクチンは不活化ワクチンです。